最低賃金とは?

ご自身の時給をご存知ですか?
2025年9月5日、厚生労働省は2025年度の最低賃金の全国加重平均が1,121円となったことを発表しました。2024年度より66円の上昇になります。そもそも最低賃金は大きく分けて2つの種類に分かれます。一つ目は「地域別最低賃金」といわれるもの、これはその名のとおり、地域ごと(都道府県ごと)に設定される最低賃金になります。もう一つは、「特定(産業別)最低賃金」といわれるもので、これは「鉄鋼業に従事する労働者」や「電気機械器具製造業に従事する労働者」のように特定の産業に従事する労働者に適用される最低賃金になります。なお、特定最低賃金においても全国一律ではなく、都道府県別に設定されている場合もあります。この特定最低賃金は、企業内の賃金水準を設定する際の労使の取り組みを補完する役割を果たすものです。地域別最低賃金ならびに特定(産業別)最低賃金の、両方に当てはまる場合には、いずれか高いほうの最低賃金が適用される仕組みになっています。
一般にみなさんが新聞・ニュース等で知ることになるのは、前者の「地域別最低賃金」のほうになります。この地域別最低賃金の決定プロセスについては、まず厚生労働省の諮問機関である中央最低賃金審議会において検討を重ね、目安額となる金額を提示します。その後、都道府県労働局ごとに設置された地方最低賃金審議会において、中央最低賃金審議会の目安額を参考にしたうえで、地域経済の状況や企業の支払能力等を考慮し、具体的な金額について審議します。最終的に都道府県労働局長が地方最低賃金審議会の答申を受けて決定し、告示します。以上のプロセスを経て決定された最低賃金は、通常、その年の10月から適用となりますが、審議が長引いた場合や企業に対しての準備期間を確保するために発効日を遅らせることもあり、2025年度の地域別最低賃金については、発効日を年越しし、2026年に入ってからとする都道府県が6県に及びます。最も遅い発効日は2026年3月を予定しており、3月発効となれば実に半世紀ぶりの現象となります。
なお、今年度の改定で、47都道府県すべてで節目となる1,000円を超えました。わが国においても、2021年後半ごろから加速したインフレの影響もあいまって、個々の生活を防衛するには賃金上昇で乗り切ることが最も有効な手段となります。一方企業からすれば、収益アップ、生産性の向上を伴わない中での防衛的賃上げでは、企業の体力は削がれてしまい、業績悪化につながってしまいます。企業収益が上昇し、余力部分を賃上げにまわすという循環にしていかなかればなりません。
ところで、みなさんはご自身の時給をご存知でしょうか?
さきにご案内のとおり最低賃金は時間額(時間給)で示されます。自分の時給?そんなの知ってるよ!、当たり前でしょ!とツッコまれそうですが、実は案外即答できなかったりするものなんです。時間給で勤務されているパートタイマーであれば、それこそご自身の時間給(時給)を知らないわけがありません。何時間仕事に入れば、どれだけのお給料が得られるかをシミュレーションされていると思います。
一方、お給料が月給制の場合、どういう計算で時給単価を計算するのでしょうか?以下のような計算で算出します。
①1年間の所定労働日数×1日の所定労働時間÷12(カ月)=1カ月の平均所定労働時間 ②月給÷1カ月の平均所定労働時間=1時間あたりの賃金額(時間給) ※②の月給には、基本給のみならず、役職手当や職務手当のように所定労働の対価と認められるものを含みます。
(例) 年間休日125日、1日の所定労働時間 8時間 基本給(月給制)20万円、役職手当3万円、職務手当1万円の労働者の場合
①(365日-125日)×8(時間)÷12(カ月)=160時間(1カ月の平均所定労働時間)
②24万円(20万円+3万円+1万円)÷160(時間)=1,500円(時間給)
以上のような計算によって時間給を算出します。なお、基本給とは別に毎月一定時間までの時間外勤務を固定で支給するような場合(いわゆる固定残業代と呼ばれるものです。)、固定残業代は上記例の計算の際には 除いて計算します。これは、固定残業代が所定労働時間の通常労働の対価ではないからです。
以上、本日は最低賃金についてご紹介しました。
この記事を書いた人

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社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(日本FP 協会認定)
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