つながらない権利

オンオフの切り替えはしっかりできていますか?
携帯電話、スマートフォン、SNSの普及に伴い今では昔とは比べものにならないくらい個人と連絡を取ることが容易になりました。その手軽さゆえに休日でリフレッシュ中であるのに業務に対応しなければならなくなることが起こり得ます。現在、議論されており、法制化を進めようとしているものに「つながらない権利」があります。こちらもそもそもの起源は海外からで、世界で初めて法制化したのはフランスでした。(2017年1月1日に施行)
なお、この「つながらない権利」についても労基法大改正の議論の中でで法制化の検討がなされていましたが、前回ご案内した「勤務間インターバル制度」同様に今春の実現は見送りとなっています。
みなさんは休日のリフレッシュ中に、電話が鳴り、顧客のフォローや対応を余儀なくされたことはありませんか?それがたとえ電話対応のみ10分程度で済んだとしても、なぜかどっと疲れが出たなんていう経験をされたこともあるのではないでしょうか。ほんの少し休日に仕事をしただけなのに仕事から解放されない気持ちになるもののようです。「つながらない権利」とはこのように休日には完全に仕事から解放される権利を指します。
たとえば、会社が貸与・支給している携帯電話、スマートフォンであれば休日前に会社に置いて帰る、休日は電源を切るということで遮断可能になります。なお、会社も貸与・支給しているからとはいえ、休日なのに電源オンで対応に応じるように強制することは直ちに違法とまではいえませんが適切とも言い切れません。
一方、多くの問題を孕むのはプライベートの携帯電話、スマートフォンを業務でも使用している場合です。この場合、休日だからと電源を切るわけにもいきませんし、たいていの方は着信があれば、躊躇はしても取ってしまうのではないでしょうか。
また、会社支給、個人所有いずれであっても、休日の連絡に応じることを当然とし、対応しない者に対して注意をしたり、人事評価の際の減点要因としたり、叱責があるのであれば、実質的には待機命令のようなかたちになっています。特に、①休日の電話対応が常態化している(結構な頻度で対応を余儀なくされる)、②対応内容は業務に関するものである、③対応に要した時間に対する手当、代休、割増賃金が与えられていない、これらの状況の重なる会社は危険なオペレーションであるといえるでしょう。
また、中にはプライベートのスマートフォンなのに会社のグループLINEがあり、休日なのに業務連絡の通知が…という悩みもありますね。これは個人的な意見として述べますが、プライベートのスマートフォンに会社のグループLINEを運用し、参加を強制するのは適切とはいえません。グループLINEはすべての従業員が業務に従事しているならまだしも、休日の人もいるのであれば、その方々の休息の自由を奪っているということにもなりかねません。業務連絡手段としても便利であるということを否定はしませんが、ここでも節度、配慮が必要です。また、個人情報を含めた情報管理・セキュリティの観点からもおすすめしません。特に顧客名等が会社のグループLINE上で日常的に業務連絡等で飛び交っている場合はかなり危険な状況といえるでしょう。また、休日であるのに、既読がつかないことで叱責したり、常に返信を求められるなどは私生活への過度な介入となり、ハラスメントの温床となることも否定できません。以上のような点からもLineを業務用ツールとしての積極使用はおすすめしません。
今回は、休日にしっかりリフレッシュするための「つながらない権利」についてご紹介しました。今や、サービス業を筆頭に同じ会社に勤務していても従業員のすべてが同じ日に休日を取ることはごく稀です。また、所属部署によっても休日が異なることも当たり前に存在します。私たちは冒頭でお知らせしましたように個人間で直接、タイムリーに連絡を取ることが容易になりました。一方で休日の人への配慮が必要なのはいうまでもありません。もちろん顧客からの電話については顧客がその方の休日を100%把握できるはずもありませんし、その方を頼って電話をしているのは確かでしょう。しかしながら節度をもってコンタクトを試みるべきではあるでしょう。
とりわけ営業職を筆頭に顧客から携帯電話等に連絡が常時入る従業員がいる場合、それが個人所有の携帯電話、スマートフォンであるなら業務用に会社支給を検討する。すでに会社支給のものであるならば、休日の業務使用についてルールを定める。100%こうすればよいという万能な対策はなかなか見つかりませんが、「つながらない権利」を契機に考えてみることも必要だと思います。
この記事を書いた人

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社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(日本FP 協会認定)
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